自分が最期の時を迎えるときに延命治療をどうするか、また葬儀や相続についてはどうしたいのかを話をすることは、自分のためにもそして残された家族のためにも大切で必要なことです。
幸い我が家ではタブーではありませんでしたので幾度となく父と話をしました。
そして生涯未婚だった私は、両親の相続手続きを終えてすぐに、自分の終活を始めました。

父が生前に準備していたもの

  • 遺言書
    私の記憶では、父は60歳頃から作成を始め、自分の誕生日を目安に変更があれば加筆修正をしていたようです。
    法的には父に権限はないものの、母が亡くなった場合の遺産についても遺言書を書いてくれていました。
  • 尊厳死について
    これは自分が不治の病だと判明した場合、すべての延命治療を拒否するが、痛みは最大限取り除いてほしい。それで命が短くなったとしてもそのことは自分が負うべき問題であるというものでした。
    父は意思表示が出来ず寝たきりで排泄の世話をされる自分を、生きているとは言えないという父個人の考えのもと延命を拒否しました。
  • 遺影
    私はこのことは知らず、兄に伝えていたようです。写真館で撮ったものでいい写真でした。
  • 喪中はがき
    あて名が書かれたものがすでにパソコンに準備されていました。母の介護の中、父の知り合いを探し、住所を調べる必要がなかったことで、どれほど助かったかわかりません。

相続で兄妹が揉めなかったのはひとえに、父が遺言書を残してくれていたからでした。
そして父が遺言付記として、生前に聞くことがなかった私への長年にわたる母への介護の献身についての感謝と労いの言葉が残されていました。それは父から生前聞くことのなかったものでした。父と私の関係は決して良好とは言えない時期が数年にわたりありましたので、このように思ってくれていたことを知ってとても嬉しく思いました。

とにかく遺言書は残された家族のためにも、ぜひ書かれることをお勧めします。

私の終活について

母が亡くなり相続の手続き終了後、自分の終活にとりかかりました。
私の意思を反映した遺産(額の多少はあっても)の使用をしてほしいという思いから、依頼した弁護士を遺言執行者とした遺言書を、そして死後の手続きの為に「死後事務委任契約」を作成しました。
詳細については下記の通りです。

  1. まず遺産をどうしたいのかを考える。
    ※途中で変更することは可能。しかし変更手続きには時間と手間とお金が必要。
  2. 遺言書が無効とならないよう、自筆証書遺言の場合、まずは弁護士に相談。
    ※無料相談などを利用し、実際に相談してみて自分に合った相続関係に強い弁護士を探す。
  3. 内容については必要なことを担当弁護士に伝え、遺言書を作成依頼。
    ※作成は任せきりにせず、疑問や不明な点はその都度メールなどで確認。
    ※遺言書には、遺言者の気持ちや考えを書き添えた方がいいかと思います。
  4. 遺言書完成後、遺言書の保管は法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用。(詳しくは下記URL)
    ※法務局での保管手続きは弁護士に依頼することも可能。私は弁護士に書類の最終確認後、自分で法務局に出向き手続き。
    https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg23314.html
  5. 遺言書以外にも、死後の手続きの為「死後事務委任契約」作成を弁護士に依頼。
    ※どういう手続きをするかのひな形に沿い、個人的に必要、不要と思われる項目を追加、削除。

    ※以下は両親の死後に行ったすべての手続き
  • 葬儀の手配(家族葬)
    このことも生前にどうしたいか話し合っておいた方が楽です。値段が低いことをかわいそうに思うこともありません。
    母の時は直葬にしようかと思いましたが、お経を上げてもらうことも戒名をつけてもらうことも出来ないということで父と同じ家族葬にしました。
  • 年金受給停止
    母も長年働いていたので年金はもらっていましたが、父の死亡により遺族年金がもらえました。(手続きが複雑)
    母の時はただ年金受給の停止だけで複雑な手続きはありませんでした。
  • 健康保険の資格喪失届
  • 住民票の世帯主変更届
  • 公共料金の名義変更と引き落とし口座の変更
  • 土地家屋の相続登記
    私は自分でしましたが、司法書士にお金を支払いやってもらえます。
    この際父が残した遺言書は、遺産分割協議書を家族で作成することで対応。
    母の時も同様に遺産分割協議書を作成しました。
  • すべての支払いなどが終わってから本人の口座凍結
    必要書類を金融機関に提出後、相続人の口座に振り込まれる。

6.「死後事務委任契約」は公正証書とする。
※死後事務を受任した弁護士、委任した私とで公証役場へ。

生涯未婚の私は両親が健在の時から自分の死後どうなるか、ずっと心配していましたので、すべての手続きが終わり安堵しました。
認知症などにより判断力がなくなったような場合に備え、任意後見契約書などもあります。いずれこの契約が必要となるときがあるかもしれませんが、遺言書作成の段階では不要と判断し作成しませんでした。

一言

私が終活で遺言書を作成した時、私は55歳でした。大変なことではありますが、まだ大丈夫と先延ばしにせずに取り組まれるのがいいかと思います。特に私のような独り身の方は早めの準備をお勧めします。
だれかがどうにかしてくれる。何とかなる。死んだ後のことは自分には関係ないと思わず積極的に自分の意思を反映してもらえるように準備をして欲しいと思います。
もし準備せず亡くなってしまうようなことがあれば、配偶者、子供、孫、両親、兄弟、甥、姪がいなかった場合、遺産は全て国庫に帰属することになります。