母61歳の年

症状

  • ゴルフ練習場でどこにどの方向を向いて構えたらいいのかわからない。
  • 甥の結婚式で東京へ行くも、目を離すとすぐはぐれてしまう。
  • ナイフとフォークの使い方が分からず食事をしないという。

詳細と家族の心境

この年の3月、私は1年間のイギリス留学から戻ってきました。資格試験の為あと3か月だけイギリスに残れないか父に話をしましたが、強く反対もしない代わりに快諾もなく、これ以上の自分勝手は許されないと思い、予定通り日本に戻ってきました。父が帰国した私を見て安堵し、私にありがとうと言ったのを聞き、父の苦労を知りました。

甥の結婚式の為に両親と私は東京へ行きましたが、私はまるで傍観者でした。ホテルの部屋も両親とは別でした。何もかも父親まかせでした。主介護者ではなかった私は、のんきに一人で鈍行で東京から福岡まで数日をかけて帰ってきました。目を離すとはぐれてしまう母と一緒に帰った父はさぞかし気疲れしたことだろうと思います。

振り返って思う事

この頃もっと積極的にかかわることも出来たと思います。そして父の為にもそうした方が良かったに違いありません。ただ振り返って思うことは、積極的にかかわらなくても介護が回るならば、それに甘えてそういう時期を過ごしても許されるのではないかと思います。そのうち、否が応でも介護に関わらざるをえなくなります。

ただ、無関心ではいけないと思います。主介護者を精神的に孤立させない為にも。家族の共感や理解は精神的な支えとなります。そして主介護者への感謝とねぎらいの気持ちを、必ず言葉にして伝えるようにして下さい。

父の生前に聞くことがなかった、私への長年にわたる母への介護の献身についての感謝と労いの言葉は、父の遺言書の中で初めて目にしました。嬉しく全てが報われた気持ちでしたが、辛かった時に父の口から聞けていたらとの思いもありました。